勉強を利用する

『知の子育て』は学校の勉強を利用する

『勉強ができる。学校の成績が良い。偏差値の高い高校や大学に入る。そして将来、選択できる職業は増え、安定した収入を得る可能性も上がる』とても魅力的ですが、私はこれは勉強の『おまけ』だと思います。

少々きれいごとのように聞こえるかもしれませんが、学校の勉強は、やはり教育のための手段であり、教育の一番の目的は、子供の知性と人間性の向上です。そして学校の勉強は、家庭側が子育ての一環として捉え、学校と協力して行うことで、その両方を強力に押し上げるポテンシャルを確かに持っています。


『問題文の内容を理解し、決められた時間内にそれまで学んできた情報を駆使して一つの答えにたどり着く』このような頭の使い方を子供が勉強以外で行う機会はまずありません。

勉強は子供の思考力、つまり『考える力』のトレーニングとしては打って付けです。体のトレーニングと同じで、頭もトレーニング次第でその能力は確実に向上します。

勉強は、そこから得られる知識以上に『子供に特別な頭の使い方をさせる』といった大切な働きがあり、それが各教科ごとに子供の考える力を様々な角度から養ってくれます。『賢いから勉強ができるのではなく、勉強が子供を賢くしてくれる』これが学校の勉強の本来の目的であって、親が持つべき正しい理解です。


よく『学校の勉強は役に立たない』などと言う人がいますが、それは間違いです。たしかに教科書で習った内容を実際に利用する機会は少ないかもしれません。しかし、その問題を解くために試行錯誤した時間は、考える力の向上という形でその人の中に蓄積され、日常生活のあらゆる場面でしっかり役に立っています。ただ本人にとっては当たり前になっているので、それに気がづいていないだけです。

繰り返しになりますが、子供にとって勉強は『頭を使う』その行為自体に意味があることを、親は必ず理解しておくべきだと思います。そして子供が勉強をがんばっていれば、そこに最初に書いた魅力的な『おまけ』まで勝手に付いてくる、というわけです。


『考える力』が子供の人生を支える

豊かな人生を送るためには心の成長は必須です。そしてそれにはもう一つ、物事を多角的に捉えたり合理的に判断する『考える力』も欠かせない要素です。

いわゆる頭の良い人ほど、まわりからの情報を鵜呑みにせず、一度立ち止まって自分で考えることが普通にできています。これはそれまで養ってきた考える力と『考えること』それ自体に慣れているからです。

また考える力は、相手の話を正確に理解したり、自分の考えをまとめ伝えるなど、他者とコミュニケーションを取る場合にも大いにその力を発揮します。さらに、やさしさや思いやりなど、一見『考える力』とは関係なさそうな道徳的なことでも、頭で考えるところから身につく場合も多くあります。

学校の勉強は『子供の考える力を養うツール』という意識を親が持って、そのための環境を学校だけではなく、家庭にもしっかり整えてあげることが何よりも大事です。

→ 学校教育について


子供に勉強をさせる目的は?

学校の勉強は『子供を考える力を養うためのツール』それが本来の役割